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最近ブラックコーヒーを自ら飲むようになりました

大嫌いだった英語の授業で学んだ大切なこと



あれは今から10年ほど前、自分がまだ高校生だった頃の話。

 

英語の授業が嫌いだったし、当然苦手だった。

思春期ど真ん中だったこともあり、担当教師もうざったく思っていた。

よって授業中は、ナンシーやメアリー達に落書きするか寝ていたのを覚えている。

 

ある日、担当教師が体調不良で代わりの教師が授業を行うことなった。

 

 

 

シュレックみたいな風貌の中年男性。

 

教師は右手に今はめっきり見なくなったラジカセを抱え、教室にのっそりと入ってきた。

 

 

そして教師は代打で来たことを淡々としゃべり終えると、「とりあえず聞いてみろ」言い、ラジカセのスイッチを入れた。

 

 

 

英語のリスニング教材かと思いきや、流れてくるのはビートルズのLet it beだった。

 

 

When I find myself in times of trouble
Mother Mary comes to me
Speaking words of wisdom
Let it be

 

ここまで流して、ラジカセを止めて言う。

 

「で、何言ってるかわかった?」

 

 

いや、わからん。何のこっちゃよ。

ビートルズ曲で、なんか聞いたことある曲というのは分かったが、レリビー以外の部分は何と言ってるか微塵もわからん。

 

周りも同じようなリアクション。

 

 

それをみた教師は特段リアクションするでも無く、

「後ろの人に回して」

と言いながら前列の生徒たちにプリントが配布される。

 

 

それはレリビーの歌詞だった。

 

「じゃ、読もうか。」

 

教師と一緒に口に出して読む。3回くらいだったかな。

とりあえず読む。声に出して読む。

 

読み終わると、

 

「ふむ。じゃ流すね。」

 

といい、そしてもう一度、レット・イット・ビーがラジカセから流てきた。

 

 

When I find myself in times of trouble
Mother Mary comes to me
Speaking words of wisdom
Let it be

 

 

!!!

 

歌詞が聞こえる。ばっちりと、はっきりと!!!

どーなってんの、俺の耳ぃ!!!

何じゃこれ、魔法使いかなんかですか?

 

 

全身を鳥肌がすんごいスピードで駆け巡る。

 

この日帰り鳥肌ツアーは、自分だけじゃなくてクラスみんなが体験してた。

その証拠に、クラス全体からおおーっと声が漏れている。

 

教室がプリンのように揺れていた。

 

 

さて、じゃあ授業を始めます。

 

そういった先生の横顔は少しだけニヤついていた。

 

 

おもしろい授業だった。

もう最初で引き込まれてるんだよね。つかみで。

 

 

まあでもあくまで代打、結局その一回きり。

次の授業からは元気になった担当教師が復帰。

ナンシーとメアリーのひげは伸び続けていくのだった。

 

 

あれから10数年。

 

今でも英語は苦手だ。決して好きではない。

 

でもそのたった一回の授業は生涯忘れられない体験となった。

 

若かりし頃に、知る楽しさ・ワクワク感を、ひとつの体験として教えてくれたことが、今でも自分の中で深く残っているのだ。

 

自分が元々持っていた好奇心という種に肥料をくれたことは間違いないだろう。

 

 

これからも知る楽しさをその都度噛み締めながらどんどん新しいこと知っていこ!